池袋での悲劇

土曜日の3分の2はひどい日でした。
まず、出がけに自宅最寄り駅に着いてから
「…あ、昨晩作った塩ネギモモ肉の炒め物を冷蔵庫に入れるのを忘れた。」
雨の中、一度帰宅。
結構難儀。
この時はまさか思いもよらなかった。これが今日の悲劇の幕開けだなんて…。


ボーマス(ボーカロイドの同人イベント)に行こうと、人の行列がなくなっただろう3時ごろ着を狙って池袋へ。
ボーマスは入場前にカタログを買わなきゃいけないのですが、カタログ販売所で
「すいません、一部ください。」
と言って鞄を覗き見た瞬間

財布がない。

「すいません…やっぱいいです。」
となにがやっぱなのかさっぱり意味不明な言いわけを残し、私はしょんぼりしながら片道およそ一時間かけて自宅まで財布を取りに帰った。
そう。これが現代社会の弊害。財布がなくてもスイカさえあれば池袋に行けてしまう。これが諸悪の根源だ。
唯一の救いは、チャージしなくても自宅から往復できるほどのお金がスイカに入っていたことである。


このあと予約してるライブイベントがあったし、来週の劇場版神聖かまってちゃんDVD発売イベントの予約のために渋谷へ、そして佐和子さんのゴスロリ写真が入荷したということでSKEショップにも行きたかったので、私はもう一度池袋へと向かった。
日曜日にもでかけるから、渋谷への用事は別に無理くり今日行かなくてもいいものだったし、予約してるライブイベントもお金は当日清算だったから、キャンセルの連絡入れればまあ行かずに家で泣き寝入りすることもできたのだけれど、最近
「外で嫌なことがあったら、それを取り返すか、よりこてんぱんに打ちのめされて死にたくなるまで家に帰って来てはならない」
という自分ルールがあってだな…。


「たぶんもうボーマス終わってるんだろうなあ…」
と思いつつ、一応サンシャインシティへ。案の定終わってる。へこむ。
会場を後にしようとすると、待ち合わせだろうか。通路の隅に男性が立っていた。
通り過ぎる瞬間、彼のリュックのチャックが開いているのに気がつく。
私は戻って彼に告げた。
「あ、あの、リュック開いてますよ…。」
彼は照れたような微笑みを私に向けながらチャックを閉めた。本当に素敵な笑顔だった。

そう、私はサンシャインシティに戻って来た意味を、
「私が財布を忘れて財布を取りに帰ってもう一度ここに来たおかげで、彼が落し物をしてしまうことを防いだのだ。」
という確かな痕跡を残したかったのだ。


池袋に降り注ぐ風雨は私の足を濡らし、そして傘を壊した。
私は風雨にさらされ、池袋駅を目指した。
計らずも、今日ボーマスで行く予定だったサークル「No one hears」の楽曲「Raindrops」の歌詞が胸をよぎる。


いつしか僕は
長靴履いてレインコート身にまとい
不安とともに刺激も避けて
つまらない人になってしまったよ

たまには傘もささず雨にただ濡れてみようかな





つまらない人でもいいから、あの時の私は、傘が欲しかった。


そして池袋の駅構内で傘を買い求める。
「傘が壊れるほど今日は雨が降ってるのねえ。」
「はい。」
「ここに居ると全然外がわからないからさ。」
「ですよねー。」
キヨスク的なお店のおばさまが私にそう話しかける。
おばさまは休日に外に出られる私がうらやましいという口調であったが、傍から見て濡れネズミで髪の毛ごしゃごしゃの私と完璧な体裁のおばちゃん、どちらが幸福に見えたかは至極謎である。


原宿から代々木第一体育館を通り過ぎSKEショップへ。
佐和子さんのゴスロリ姿のお写真やその他各種写真を眺めて癒される…。
そして佐和子さんのゴスロリ写真を購入。

それから渋谷の映画館で劇場版神聖かまってちゃんのイベントのチケットを購入し、下北沢へ。

この時点でちょっとさっきまでの不幸を忘れつつある私。お手軽である。