ロリヰタ/嶽本野ばら

小説です。「ハネ」と二編収録。

ロリヰタ
ロリータ・コンプレックスなどの文脈で使われる「ロリータ」と、ロリータ・ファッションと言う意味合いで使われる「ロリータ」のダブルミーニングのタイトル。
ナボコフのロリータを読むと対比できてより面白いんじゃないかなー、と。

これはじめて読んだのが確か中学生の頃だったんだけど、今読むと時代がだいぶ変わったなってことを実感します。
携帯がまだ500文字とかしか送れない時代…。
あったねえそんな時代。

野ばらちゃんの小説を読むとだいぶ読んだ印象が初読とだいぶ変わっていて、
「あー…私もよくも悪くも大人になったんだなー…」
と思います。

野ばらちゃんの小説は処女作から一貫して「矜持」という言葉が良く似合います。プライドではまだ軽い。
自分の矜持を何が何でも守り抜きなさい。
そんな想いをどの作品を読んでも感じます。 この本でいうと「ハネ」が特にそう。


ロリヰタの主人公は限りなく野ばらちゃんに近い「僕」
自分のことを異端とか、人と違う、とか言ってて本来なら今の私が一番嫌いなタイプのものの書き方のはずなのに、何故か今も捨てられない。


物語は一応ハッピーエンドで終わるけど、描かれてないその後も続く二人の恋は、必ず悲しい形で終わると思う。
大人になれば、そんなのわかり切ってるからそういう恋には飛び込まなくなる。
防御策を取る。それはとても正しいことだと思う。
でも、それが全てわかってるのにそれでも自分の気持ちに正直にならざるをえない「僕」のその悲劇性がとても美しいなあと思ってしまいます。


こういう話を全肯定できなくなってしまった、どこかでしらけてしまうようになってしまったのは私がその分大人になったんだろうなあ…。
別にそういう風に感性が変わったことを自分で間違ってることだとも悪いことだとも思わないけれど、だけどちょっとだけ寂しさがある。
新たな感性を手に入れた代わりに、あの頃確かにあった感性を失ってしまったんだなあと。


言葉は不完全で、想いの全てを伝えてくれはしないけど、でも伝えようとすることを諦めてはいけないなと、改めて思った一冊。

ロリヰタ。

ロリヰタ。