PAPALUWA第一回公演「アン・アンプラグド」感想

アン・アンプラグド
 PAPALUWA第一回公演を見てきました。劇場は「シアター・バビロンの流れのほとりにて」何度聞いても慣れないなあこの劇場名…。シアターバビロンはこないだのCui?以来。こないだ私も出演した麻生夢想「英雄探偵」が公演されたpit北/区域と同系列の劇場です。pit北でお世話になった小屋付きさんをお見かけした。

今回のPAPALUWAは麻生夢想割を実施していて、私も麻生夢想の半券持ってたっていうかPAPALUWAのために入手したので、200円割引で入場。
 入ると、この間のCui?と同じく、ステージを両側から挟みこむ形。平台は組んでなくて、そのせいかより距離が近く感じました。平台がない代わりに、人が座れるほどの色とりどりの立方体の置物がステージ上に点在していて、客入れの段階から役者さんたちはステージ上に居ました。
珍しくちゃんとほど良い時間に着いたから、ゆるゆると当パンや折り込みフライヤーが見れた。今回のPAPALUWAのフライヤーも挟まってたけど、私はほんとにひるちゃんが作るフライヤーが大好きです。めっちゃ格好いい。お洒落。センスがある。

感想。
アンドロイドのニコのコードがしっかり造ってあるのが良いなあと思った。ちゃんとプラグまで作ってあって、差し込み口もちゃんと立方体の装置に造ってあって、抜き差しできるようになってる。これがすごく良いなあと思いました。
それから、やっぱ音響照明がめちゃくちゃ格好いい。電気さんと憧海さんのこのお布団コンビの音響照明はもうほんとスタイリッシュ。前回Cui?をここで見た時も音響照明がこのコンビで、すっごい良いなあって思ったんですよね。二人の力量はもちろんだと思うんですが、ここは特に照明が映える劇場な気がします。
特に、ニコの電源が切られて静止した状態を表す青いライトがすごい好き。少しPerfumeライブでの「シークレットシークレット」イントロの演出を彷彿するからというのもあるけど。


演出の付け方も好きだった。半分がハルの自宅で、半分が大学の部室。ところどころで見られる演劇的というか抽象的な役者の身体の使い方とかも好きだなあと思うし。ちゃんと役者の身体性を考えて本なり演出なりを付けてるっていうのはすごい良いなと思います。見てて飽きないし。それから間の取り方とかも気持ちいいし。
あと、なんかこの話はところどころお客さんを笑わせにかかっていてそれがきちんと面白いから良いなすごいなーと思いました。作・演出のみなみがお笑いに造詣が深いというのももちろん影響してるんだと思うけど、女性で面白いことが出来るっていうことにほんとに憧れます。性差はあるけど、何でも性差のせいにして諦めるのは良くないよなあと見ていて反省さえしました。


 あと出ている役者さんがみんなすごく魅力的。華がある。かおちむ(矢田役)の美貌っぷりはステージ上でもうそれはそれは映えてたし。美人はほんとにみんなステージに立つべきだと思う。現実での生活以上に、舞台上において美しいというのは絶対的正義。あと、「ファッションセンスがおかしいギャル」っていう設定だったんだけど、ごっつい短い丈のスタジャンの下にミッキーのTシャツ、ミニスカとか、変なのにちゃんと着こなせてるというか一瞬「あれ、変じゃなくない?」と思わせる妙な説得力があったのが役者だなと思った。おまけ役の井堰くんは、なんかあんなに舞台上で『普通の人』で居られるのはすごいなあと思った。ハル役の流星くんは華があるから主役向きだなーと思った。周(あまね)役のこのみちゃんは、表面的な女性像と、もっとどろっとした女性の内面的な部分をこの一つの作品の中できっちり演じ分けていた。やっぱり、そういう人間のどろっとした部分や陰の部分を演じられる役者さんが好きです。轟役の真之介さんはすごい強烈なインパクトがあった…。たぶん出演者の中で一番インパクトあった。器用だなあと思うし、すごい魅力的な俳優さんだと思った。あとあのLOVE ME TENGAって書かれたTシャツどこで買ったんだろう…。でも見ていてこの作品や稽古場に対してどういう感情を抱いているのかがなんとなく少し気になった。

そしてニコ役の鍋田さん!今回の作品の中で私の断然完全1番の超一推しです!みなみも本当に良い役造って良い演出つけたなあと思うし、鍋田さんもしっかりツボを押さえて演技してたからすごい好きだった。発声もアンドロイドっぽさが意識されてて、表情も単一的だったり。やっぱり、人間に近づけようとしてるアンドロイドを人間が演じるっていうのはとても面白い。SF好きってわけじゃないけど、アンドロイド物はすごく好きなので、今回のアン・アンプラグドはとても私好みでした。アンドロイドを演じている女の子って、なんてアイドル的なんだろう…とめちゃくちゃ萌え萌えしてしまいました。やっぱアイドルと同様に、その虚像と実像のバランスに私は心から惹かれてしまうのです。特に、ニコの主人のハルと、ハルの彼女の周(あまね)のやりとりを、舞台の隅の暗幕から様子をうかがうように覗きこむニコの姿に心を打ち抜かれました…。ほんと萌え。胸がきゅんきゅんしてしまった。もうこのニコに出会えただけで私は今回これを見に来た価値があると思ってます。それぐらい大好きでした。


 話的には、どこまでも真っ直ぐでひたむきなニコと、それにどろどろとした過去や嫉妬心を隠さない周の対比は、女性の光と陰を対比している気がして面白かった。そういう視点で女性を俯瞰から見られるのは作者が女性だからだと思う。あと、「女性は人の修羅場に首突っ込むことでストレス解消してるのよ。」っていうセリフも女じゃなきゃ書けないなあと思った。

ただ、出てくるキャラクター達がみんな個性的で魅力的だったからこそ、あのラストはあまりにも全てがぷつんと終わってしまったように感じてしまって悲しかった。あと、話のはじめと終わりで誰も何も変化してないところも。(それは、全員アンドロイドだからなのかもしれないけど…。)やっぱり私は物語を読む時、そこから何かを得たいと思うから、あのラストは何も残らなくて、「ハルや周はそしてどうなったの?ニコはあれで終わりなの?」という疑問だけが残されて、それが寂しかった。
あと、ハルの自宅に対して部室とそこに集うメンバーが担う役割というか必然性が薄いように感じてしまった。だから最後に「全員アンドロイドなんだよ」ってオチが明かされても衝撃が薄かった。あの造りとオチだったら、もっと観客にガツンと食らわせる方法があった気がする…。
それから、ニコの取説の言葉づかいがところどころ不自然な気がして気になってしまった。


でも全体の造りとか設定はとても好きだし、作者の時に残酷なまでの観察眼に由来する面白さや痛快さはとても魅力的で、それに対する登場人物の底抜けの愛らしさや可愛さの対比やバランスがとても素敵だと思った。そういったキャラクター達の魅力はそのまま作者のみなみ本人の魅力がそのまま作品に投影されているように感じた。
 作・演出において、女性であることも含めた自分の資質を強い武器にしているのを感じて(女性である以上それを武器にせざるを得ないとしても)、勇気のもらえる作品でした。


PAPALUWA第一回公演「アン・アンプラグド」
期間・2012/03/02(金) 〜 2012/03/04(日)
会場・シアターバビロンの流れのほとりにて
料金・1300円(麻生夢想「英雄探偵」半券を持って行くと200円引き)

【出演】
井堰康貴、小貫流星、佐野このみ、鍋田怜那、矢谷加織、鈴木真之介

【脚本・演出】
鈴木美波

【舞台監督】佐光望
【照明】格清雄介
【音響】櫻内憧海
【装置】幸本直子
【フライヤーデザイン】比留間晴子
【制作】飯島美春/鉄炮塚亜希

劇団ツイッターhttps://twitter.com/#!/papaluwa