3/21MOOSIC PRODUCTS D プログラム感想(新しい戦争を始めよう・Big Boss・アイドル・イズ・デッド)

複数日上映するってことだったので、いつ行こうかなーと悩んでいたのですが、この日はBiSの舞台挨拶があるということだったので、初日に行くことにしました。
Cui?も新宿だったからというのもあって、早めに整理券付きチケットを買えたのはラッキーだった。


開演20分前ぐらいに再び着くと、ロビーは大盛況。チケットも完売だったそうな。
そして10分前になると開場し、席へ。


「新しい戦争を始めよう」
竹内道宏監督×笹口騒音ハーモニカ×うみのて


もうまず、生のライブか、PCのスクリーンでしか見たことがないうみのてのライブを映画館のスクリーンで見れたのはとてもうれしかったです。
竹内さんのライブ動画の撮り方は好きなので特に。ライブのシーンになるたびに頭に血が上って顔が熱くなりました。3月なのに腕まくりしてしまったぐらい体温が上がった。
演劇もライブも、それをそのまま録画したのであればそれはただの記録映像で、「現実の劣化版」でしかないと思うんです。でも竹内さんの撮るライブ動画は、フォーカスがガンガン動いてズームを多用していてきちんと創意工夫を持って手を加えているから、ライブとはまた違う一つの映像作品になっているので素敵だと思います。

映画で使われていた新宿URGAとあと大晦日の新宿Motionのも使われていたかな、のライブは私も行っていたものでした。私はライブを見ている時はもうステージを正視する余裕なんてないから絶対そんなはずはないのに、竹内さんの撮った動画を見ていたら「ああ、私はあの時確かこういう風にステージを見ていた。」って錯覚するような撮り方。すごく、「客の視線」って感じの撮り方だから、竹内さんのライブ動画を見ていると熱くなるんだと思います。

ドキュメンタリー風にフィクションの物語を撮るっていうやり方も面白かったです。


でもこれは今回同様に実在するバンドを映画で扱った「劇場版神聖かまってちゃん」を見た時も同じようなことを思ったのですが、
「物語という嘘は、ミュージシャンのライブという真実に勝てるのか?」っていうのがあって、私はどちらも負けているように感じてしまいました。
実際のライブ映像を素材として使うと、物語をそこに寄せて行かなきゃいけないわけで、そして虚構の物語を本物らしく装えば装うほど、余計に「本当のライブ」っていう紛れもない真実がとても強く際立ってしまって、物語が霞んでしまったように思えた。
もちろん、それこそが狙いならそれで良いのかもしれないです。


そして、笹口騒音ハーモニカとうみのての「東京駅」などをはじめとする曲から着想を得ていると思われる物語。でも私は、でも、この物語だったら、東京駅をうみのてが演奏し笹口騒音ハーモニカが歌った方がいい、それで十分すぎるほど十分だ、と思ってしまいました。

好きなものをそのまま素材として使うのはもしかしたらとてもリスキーなことなのかもしれないです。

うーん、でも、私はすでにうみのてや笹口騒音の曲を知っているからこそそう思うのかな。彼らを知らない人にとっては良い入口になる物語なのかな。


しかしやっぱり竹内さんと笹口騒音ハーモニカ、うみのてがタッグを組んだ映画が見れたというのはとてもうれしかったですし、この映画をきっかけにうみのてや笹口騒音に興味を持った方も実際いらっしゃるようで、そのこともとてもうれしいですし、それだけでこの映画をこの企画で発表され、私もそれが見れたというのは本当にとてもうれしいことなのです。
でも、だからこそ、そして私もうみのてや笹口騒音ハーモニカの音楽や歌詞がとても好きだからこそ、この物語はやっぱりちょっと残念だな、悔しいなあとも思ってしまうのです。

複雑。でも竹内さんの撮ったうみのてのライブ動画を映画という場を借りて見れた、ファン以外の人に見てもらえた、存在を知ってもらえたということは本当に素直にうれしかったです。


劇中の黙って無言の笹口さんは、いつも物販に居る時の笹口さんじゃないみたいでした。歌っている時の尖った感じを少し彷彿としました。
あと見どころは、ちばぎんが死ぬところが面白いのと、竹内さんの妹役の撮影練習用に作ったうみのて人形に使われている写真の、キクイさんのはにかんだ笑顔と高野さんのテンション高い表情です。



「Big Boss」
岩井澤健治監督×渡辺勝
アニメ映画が来ると思っていなかったのでびっくりしました。
「新しい戦争をはじめよう」と同じぐらいの長さだろうと思っていたからそういうつもりで見ていたら、15分くらいで終わってしまったから「あれ!?」ってなってしまった。
だからあんまり話追えなかった…。

ミッキー的な着ぐるみを頭からかぶってる人が地面に横たわっているっていう絵がめちゃくちゃシュールで、そのシーンの間中必死に笑いを堪えてました。


そしてBig Bossが終わった後、舞台挨拶へ。急遽、「新しい戦争を始めよう」からは出演者の笹口さんとうみのてギター高野さん、佐津川愛美さん、「Big Boss」からは岩井澤健治監督が登壇。

ガチガチの高野さんが面白かったです。笹口さんは「ほんとは喋ると映画のイメージ崩れるから喋るなって言われたけど、高野くんが全然喋ってくれないから喋ります。」といつもの笹口さんで喋っていました。
竹内さんは納品した後猛烈な体調不良に襲われ、上映中はご自宅で寝込んでおられていたそう…。

Big Bossの岩井さんは「やっぱ白黒アニメにしたらもっと造りこめたのに…」みたいなことをおっしゃってました。


そしてお待ちかねBiSちゃんの登壇!!映画館だけどがっつりいつもの自己紹介もしていたのでしっかり乗っておきました。話は撮影秘話が主でした。
プーちゃんは「人生でこんなに棒読みって言われたことないくらい棒読みって言われた…」って言ってた。でも普段からプーちゃん棒読み気味なとこが魅力的じゃない!
ゆふちゃんは撮影で研究員(BiSファン総称)をエキストラに呼んで撮影したことや、自分だけ現場入りが遅かったけど、みんなすごい疲れてるから不安だった…みたいなことを話していると、「あんまり喋ると私たちが喋ることなくなるでしょー。」とたしなめるプー姉さん。
撮影が過酷で、でも映画ってそういうもんだと思ってたから、共演者の方に『映画っていつもこうなんですか?大変ですねー』って言ったら『えっ、こんなの絶対あり得ないですよ!』って言われた話などをプーちゃんがしていました。
のんちゃんは、司会の企画プロデューサーの直井さんに「どういう役柄だったんですか?」と聞かれて「自宅警備員…引きこもりです。」とにこにこ答えていました。

そしてBiSちゃんが後段し、上映。


「アイドル・イズ・デッド」
加藤行宏監督×BiS


この日の一推し映画でした!すごく面白かったです。コメディなんだけど、ちょっとぐっと来るところもある感じで。そしてやっぱアイドルって媒体は映画とすごく相性いいんだなあと思いました。アイドルっていう存在そのものに虚構性と物語があるからかな。
虚構と真実の織り交ぜ方のバランスが取れていて、とても見ごたえがあった。特にBiSや彼女達のキャラクターを知っていると、現実が物語の色んなところに散りばめられていることに気づいて楽しかった。
カメラワークとかも詳しくないけど、でも見ていて飽きなくて、格好良くて、わくわくする撮り方だった。
BiSちゃん達の演技も、映画初挑戦とは思えないほど素敵だったし、他の役者さん達もとても良い役者さんで、エキストラの研究員さん達もいい味出してた。
そう、この映画は出演陣の演技がみんなとても良いなあと思ったのです。それだけBiSちゃんや研究員さんに対する演出や撮り方が良かったってことなんだろうし、BiSちゃんの脇を固める他の役者さんたちがとても良い役者さんだったからなんだろうなあと思いました。


そして、この映画のすごく好感を持てたところは、ファンを単なるタダで使える便利なエキストラ扱いしていないところ。研究員(BiSファン)であることに必然性のある役柄だったからこそ、こんなに研究員さん達の姿が映画の中で光っていたんじゃないかなと思う。
そのアイドルを好きであるがために殉教してしまったり、メンバーの罪を一緒に被ってまでライブに参加するっていうのはすごくアイドルオタクの一途過ぎる、純粋すぎる側面を切り取られていて、そこにぐっと来た。あのエキストラ役っていうのはBiS研究員にしか絶対に務まらないことだから。
ラストシーンにぐっと来たのは、研究員さんの姿も一緒に撮られていたからっていうのはすごくある。あれがBiSちゃんだけ抜きの絵だったらこんなにぐっと来なかったと思う。



地下アイドルのヤンキーを殺してしまったから、彼女達の代わりに「BiS」というアイドルグループを結成して…というお話。

最初からユフちゃんが出てこなかったのも良いと思った。
プーちゃんとノゾミちゃんと女優さんで結成。たぶん最初からユフちゃんも加えてのBiSだと現実が物語から浮いてしまっていたんじゃないかと思うからこれで正解だったと思う。そして、ユフちゃんが結成から遅れて後からBiSに加入するっていうのは現実とのリンクでもある。

あとプールイのアクションがすごく格好良かった。もうほんと冒頭から「着いて行きます姉さん!!」って感じでした。私の常々感じていたプールイの格好いい一面を引き出されていた気がしてうれしかった。
冒頭の「歌手を目指していた」っていう設定と、プールイきっかけでBiSってグループが結成されるのも現実とのリンク。


ユフちゃんは、泣いたりすごんだりっていう表情が多くて、演技じゃないとアイドルのそういう表情って見れないから、そこがよかったです。あと高校の制服姿が良く似合っていた…。
泣いてるシーンは、なんかあのユフちゃんが鼻水たらしてるように見えてそこに笑ってしまったけれども。はなたらしてても可愛いのよ!
あと生で見るユフちゃんはひたすらに可愛いっ!って感じなのだけれど、映画のユフちゃんは、さらにそこに美しさが加わっていて、普段とはまた違う新たな魅力が引き出されていて良いなあと思いました。
あとユフちゃんは役柄と普段とのギャップが良かったです。アクションしてる時の表情とかもすごく凛々しくて。アクション格好よかったです。プールイが凄みのある格好よさだとすると、ユフちゃんは爽やかな格好よさ。


のんちゃんは、最初のひきこもりたんぜん姿がもうめちゃくちゃ可愛かった。なんかのんちゃんの素の姿を見たような気がしてどきどきしてしまった。
あと、のんちゃんファン役の人に「のんちゃん、僕お金一杯あるし、結婚しよ!ね?アイドルなんて危ない仕事もうやめようよー!」と言われるとのんちゃんは
「私高校も中退して、ずっとひきこもってたから、今こうやってBiSでいられることが一番楽しいの!だからごめんなさい。」って言ってて、それは現実に限りなく近い虚構のセリフだから、なんだかお芝居だと分かっているのに少しじんとしてしまった。
そして「これからものんちゃんのファンで居ても良いかな…?」というのんちゃんファンにくしゃっとした笑顔を向けていたのがすごく可愛かった。
のんちゃんはすごく良いお芝居をするなあと思った。ぐっと来たもん。雰囲気あるし、女優さん絶対向いてると思う!


そしてラスト、戦った末に血だらけの彼女達がprimal.をライブで歌う姿では、なんかもうこんな破天荒な話なのになんだかほんとにぐっと来てしまった。血だらけで傷ついてもなおも歌う彼女達の姿は現実とのリンクでもあったし。


最後のBiSちゃんのライブシーンも、撮影スタジオで撮った嘘のシチュエーションの嘘のライブだけど、でも歌っているメンバーはBiSの3人だし、エキストラとして参加しているお客さん達はみんなBiSちゃんのファンだし、その「限りなく本当に近い嘘」は、作中内でとても良いバランスであり、そして「限りなく本当に近い嘘」それはすなわち「アイドル」を体現したシーンでもあると思うのです。
そして、傷ついて血だらけでなおも歌う彼女達と、隔絶されたような空間で彼女達のライブを心から楽しみ応援する研究員の姿は何の嘘もなく「BiS」そのものだったのです。


不思議なことに、「アイドル・イズ・デッド」はドキュメンタリー作品ではなくフィクションであるにも関わらず、作品のラストに対する感動は、BiSに対する感動に成り変わっていたのです。

今回の上映は素材に不備があったため、強引なところや、作品のつじつまがあっていない所もありましたが、それでもすごく良い作品だったと思います。

最後がプールイの笑顔の抜きで終わった所を見て、「ああ、やっぱBiSのアイデンティティはプールイだよなあ」と思った。


BiSのファンだということを抜きにしても、そしてファンだからこそより面白さがわかるのですが、アイドル・BiSという素材を最大限生かしたフィクション映画で、BiSの一ファンとしてもとても光栄でうれしかったです。ファン冥利に尽きた。
特にこの撮影に参加された研究員さんは、本当に良い思い出になったのではないでしょうか。そういう意味でも素敵な作品だったと思います。
ぜひDVD化して欲しい!


この映画を見て、加藤行宏監督という監督さんにとても興味を持ちました。今後の作品もすごく楽しみです。


そして、今回は素材に不備があったためアイドル・イズ・デッドは一部抜けたシーンがあったり、不自然に画面が数秒ブラックアウトしたりして、きちんとした完成版を見ることができなかったので、また別日に改めて見に行こうかなあと思いました。今日行かれた方は無料で整理券いただけるそうですし。



終演後は、もううみのてのライブ映像や、アイドル・イズ・デッドのラストシーンにすっかり興奮してしまって、帰ろうとエレベーターを待つBiSちゃんに一人一人に熱く感想を述べて、エレベーターに乗るまでお見送りしたり、加藤監督に「アイドル・イズ・デッド、すごく良かったです!!」と声をかけたり(加藤監督は映像の不備があったこともあり、非常に申し訳なさそうにされてましたが…。)していました。

帰ってツイッター見たら、研究員さんの中に「一本目の映画(新しい戦争を始めよう)が気になった」とか「笹口さん推せる!」っていってる人や、逆にうみのてファンで「のんちゃん可愛かった」と言っている人がいたりしてとてもうれしかったです。
そうですみんなうみのてもBiSも好きになればいいんだよ!!!
とすごくうれしくなったのでした。


ファン、ファンじゃない差し引いても楽しめると思うので、ぜひ足を運んでみてはどうでしょうか。Dプログラムは
3.25(日)/3.30(金)/4.11(水)
と後3回の上映を予定されています。
詳細は企画公式ブログへhttp://spotted63project.seesaa.net/