カラーオブハート

カラー・オブ・ハート [DVD]

カラー・オブ・ハート [DVD]

映画です。最初、主人公の男の子と女の子が白黒テレビドラマの世界に吸いこまれた時は
「うわやばいハズレ映画引いちゃった…?」と思ったけれど、そこからが面白かった。
白黒テレビドラマの世界をは平和で、恋には手を繋ぐまでのプラトニックラブしかなくて、女の人は家で家事をしていて…っていう「古き良きアメリカ」を体現した世界。街の人には「街の外」という概念がないから地理は街の中の大通りの説明だけだったり、設定通りの行動しかない…。っていう世界を二人がどんどん変えて行ってしまう。セックスを教えたり、バイト先の雇い主に「設定以外のこともしろ!」と叱ったり。すると、白黒の世界に「色」が生まれた。町の人が現実の姿に近づいていくほどに色は増えて行って。

アメリカらしい映画だと思った。「変えること・変わること」を全肯定しているから。白黒で誰も何も思考しない平和な世界よりも、それをぶち壊して色が生まれ女の人は外に出て、設定以外のことをする自由が生まれた。でも自由は良いことばかりではなく、多くの諍いや哀しみを産んだ。
それでも変わることを全肯定しているんだよね。
見方を変えれば、二人は平和な世界をぶち壊したとも言える。
町の人からは二人は「先進的な人」と尊敬さえされているけれど、彼らがしたことは本当に良いことだったんだろうか?ということを思った。
そこがとてもアメリカ的だと思った。フロンティア精神みたいなのを感じた。
発達した文化を持っていない原住民に先進的な文化を教えることは果たして善なのか悪なのかという命題に似ているように感じた。
だけど、アダムとイヴの話のように、主人公の男の子に女の子が「色のついた林檎」を食べさせる
シーンがあるんだよね。監督自身、この変わってしまった世界が失楽園であることを分かっているんじゃないかと思った。
それでも、平和の条件として与えられた設定の外側に行かなければならないってことが言いたかったんだろうなあ。

すごい面白かったんだよねー。「テレビドラマの中に人間が入って世界を変えていく」っていうのは無理がある設定だから、ものすごく色々矛盾はあるんだけど、それは瑣末なことだなって思わせるんだよ。物語上の矛盾や謎が受け手を萎えさせる作品と、「その矛盾をわざわざ突っ込むのは野暮。」と思わせる作品の間にはどんな差があるんだと頭を抱えてしまった。
そのぐらいすごく良い脚本だと思った。
政治的な問題(人種差別やファシズムや暴動)を間接的に表現するその仕方とかがとても上手かった。

ジョアン・アレンという女優さんにとても惹かれた。ああいう歳の重ね方って憧れるなあ。
彼女は本当に物語の住人になっていて、すごい俳優さんはほんとにすごい俳優さんだなあと思った。