透明な汚泥

例えば、夫が痴漢したことがある、という事実を妻が知って、そこで、別れようではなくそれでも一緒に居たいを選ぶ時、どうやって気持ちの折り合いをつけるんだろう。一緒に居続ければ永遠に続くであろう、「許したいけど絶対に許せない」の感情を、想像するだけで重苦しい気持ちになってくる。赤の他人なら、「最悪だ、死ねば良い」と心から憎んでいいのに。

上っ面や虚栄心の塊を真実と取り違ったようなやり取りや空間を見ると途端に憎悪にも似た生理的嫌悪感で気持ちが悪くなる。

日中は罵詈雑言しか思い浮かばない。自分が汚泥であることを意識する。

スーパーやコンビニの店員以外誰とも接さない、社会から自分の存在が希薄になっていくほどに得られるあの透明さを、わたしがまた獲得できる日は来るのだろうか。