金曜のよる

帰りの電車。初々しい高校生のカップルが初々しく甘い会話に花を咲かせて手を絡めていた。
もしかしたら今後60年にわたって、二人にとっては光を放つ最良の瞬間としてあの時間が刻まれて行くのかもしれない。
だけど、2人の正面に立ちそれを見るでもなく見ている私にとっては反射的に気持ち悪さを感じるだけだった。
主観と客観の距離の遠さを感じるのはこんな時。
自分が見た景色、嗅いだ匂い、その時の気持ちを、自分が感じたままと同じものを相手に見せることにはとんでもない暴力や熱量を必要とするのかもしれない。
優れた表現だけがこの距離をゼロに出来る。