「ふつうによい」考。あと映画。

今週のお題「ふつうに良かった映画」
ふつうによかった映画について語るために、まず「普通によかった」という言葉について吟味しよう。

「よい」「わるい」のどちらでもなく、その中間に位置するのが「普通」
とするならば、「普通によい」という言葉は矛盾していて意味が通らない。
とはいえ普段雑談をしている折に耳にする言葉である。たぶん私も使ったことがある。


例えばどのようなシチュエーションで使われるか。

A子「サイゼのエスカルゴって食べたことないけどおいしいの?安いかたつむりっておいしくなさそう…。」
B美「私もそう思ってた。でも普通においしかったよ。」
ここで解釈し得る「普通においしかった」の意味はいくつかある。受け手はそれを話し手の言い方や前後の文脈から読み取らなければならない。また複数の意味が混ざっている場合もある。


1、「おいしくないと想定していたものが、自分の想定を超えておいしかった。」の意

2、1に加えて、「しかし、『とてもおいしい』の域までには到達していない。」の意味も含んでいる
また、このように使われる場合、「自分の期待値が低かったから、おいしいと感じた。(最初からおいしいものを期待していたら、そんなにおいしいとは感じなかったかもしれない)」というニュアンスを感じなくもない

3、2の意味合いは含まず、『ちゃんとおいしい。』の意味。「普通に」を完全に「ちゃんと」と代替可能の言葉として使っている。



では、上記B美はいったいどのような意味合いで「普通においしい」と言ったか。正直この例文だけでは判断できない。表情言い方前後の会話の文脈、またA子が「普通に○○」という言い回しに対してどのような印象を持っているかで、この場での「普通においしい」の意味合いは変わってくる。


立場を変えて考えてみよう。例えば自分が作った料理に「普通においしかった。」と言われた場合。
これも言われた側が「普通に○○」という言葉にどういう印象に持ってるかによるだろうが、たぶん私がそう言われたらカチンと来ると思う。
『なんでそんなに上から目線なわけ?』
『[普通に]って付ける必要ある?』
『すごくおいしいわけじゃないと言いたいんですかね?』
等。

そう思う人間が少なくともここに1人いるということは、こういう風に受け取られる可能性がゼロじゃないということだ。
「普通に○○」という言葉を使う時は、あくまで本人の耳に入らない場での話に留めておくべきだろう。


ではひるがえって今週のお題「ふつうによかった映画」
…。返って何を上げるべきかよくわからなくなった。きちんと意味を考えようとすればするほど「ふつうに」の意味は曖昧でとらえにくい。
ただ三木聡監督の、「図鑑に載ってない虫」が全然ピンと来なくて、その後全然期待しないで「転々」を見たらすごく好きで、あっ同じ監督でもこんなに振れ幅が在るんだ…と思ったことはある。だけど転々に対しては「すごくよかった!!!」で「ふつうによかった」じゃないからなあ。
最近「ふつうによかった」ものは、ダイソーのラッピング袋。つるつるした無色透明な袋で口を金の留め金で縛れるタイプ。『手紙とプレゼントを一つの袋にまとめたい』という果たしたい目的を果たしてくれた、それ以上でもそれ以下でもない。というところが。