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6%DOKIDOKIからはじまる物語

黒いスーツに白いワイシャツ、黒い鞄。

仕事帰りに色に溢れた街に降り立った。原宿。身体は疲労に満ちている。

ダイソーで、自宅のタンスから溢れかえった服を収納する箱を買いたかった。買い物を終えて、私は駅には引き返さず、反対方向を歩いた。昨日NHKで見た番組に出ていたひとがやっているお店に寄ろうとおもっていた。

横断歩道を渡った先にある路地に入り、右に曲がる。ゲスな画風の似顔絵屋の店を目印に左に曲がると、そのお店があった。カラフルすぎる熊の大きなぬいぐるみが私を出迎えてくれて、階段を上るとそのお店があった。

バキバキの音と色に包まれて圧倒されつつも平然を装う。

ど派手な髪色とお洋服の店員さんに

「いらっしゃーい」

と声をかけられても寡黙に会釈を返すだけ。

遠い世界の人達とアイテムだとおもった。

こんな派手な服、休日だって着れないし、店員さんたちみたいな髪色のひととこの先一生友達になる機会ない気がする。

これを身に付ける人たちと私の生き方は違い過ぎる。

それは即座にこの店を出るのに十分な理由だったのに、私はどこか後ろ髪引かれる気持ちで、店に置かれているもの達を眺めた。

ふと、”いつもココロに革命を”というコンセプトを掲げた、ポップな色、ポップな書体の「革命」という文字で出来たクリップ&ブローチが目に入った。

何か、ひとつ。

その時気が付いたら、このお店にあるものを何かひとつ家に持ち帰りたい、という気持ちになっていた。

なんとなく眺めているだけだった一週目と違って、二週目はひとつひとつを真剣に吟味した。

缶バッチにしよう。

色とりどりの雑貨が写真に収められた丸い小さな缶バッチを、柄違いでひとつずつ。

「お会計お願いします。」

と声をかけると、ど派手なお兄さんが微笑んで返事をしてレジに立った。不思議な品のあるひとだとおもった。

レジにお金を置き、袋詰めしているお兄さんを待つ間の手持ぶさた、お兄さんの髪の色や身に付けているものをひとつひとつきちんと見てみたいたい気持ちに駆られたけれど、絶対不躾な視線になってしまうだろうとおもって、お兄さんの手元だけを見ていた。

お会計を終えて、お兄さんの「またどうぞ」の声を背にお店を後にした。

極彩色のお店から抜け出た私はやっぱり黒いスーツに白いワイシャツ、黒い鞄。だけどさっきまでと少しだけ違う。

 「Colorful Rebellion」

「いつもココロに革命を」

「反抗的色彩」

色の無い世界を生き抜く、殺されない。モノクロに武装した私は新しい色を隠し持った。明日は私が、新しい色になる。

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