「どうしてこの本を書こうと思ったんですか。」 って聞かれた時の話

びっくりセールで妙齢の女性が、

私の著書の「生活を覗く。」を手に取って

「どうしてこの本を書こうと思ったんですか。」

って聞かれて、私は今にして思えばほんっとうにしょうもないことを答えてしまった。

即売会に出るからには新刊を作りたいと思ったから

そうじゃない、そうじゃなかった。

なぜ新刊を作るのかを聞かれたんじゃない。なんで「その本」を作ろうと思ったのかを聞かれたのに。

思い返せば私は最初からいつでもそうで、芯の部分を触られたり壊されたり馬鹿にされたりするのが嫌で、上澄みの剥けても痛くないような甘皮の部分で喋っていて、あーーーでもそんなの誰に刺さるんだろう。

あの真摯な眼を前に、私はちゃんと自分の骨を肉からえぐり出してでも見せるべきだった。

 

女性は、

「そう、ありがとう。」

とブースを立ち去って行った。