通勤電車に生息する、人ならざる者たち

帰りの電車。すぐ横にいる酔っ払いが、乗り換えの多い駅で席が空くや否や急いで網棚の荷物を取るもその間に席は埋まり、盛大に悪態をつきながら荷物を網棚に投げつけ、鞄の紐が私の頭に当たった。

反射的に距離を取りながら、恐怖心や怒りよりも、もはや哀れみの気持ちしかなかった。

酔っぱらって席に座れないだけでそんなに怒るのなんか、まず絶対幸せな人ではないじゃん。

幸せでもなく、矜持も持てず、理想もない。

自意識過剰なひともうざかったりめんどくさかったりすることだいぶあるけど、でも自意識というものが存在するだけ全然まだ人間だなと思う。

こう在りたいとかこうなりたいとか全然なく脊髄反射で声を荒げて鳴いている感じがもう、人ならざる動物すぎて、希望の余地がなかった。

 

でもたぶん一歩間違えば誰でもああなりうる。惰性で朝起き、通勤し、働き、飯を食い、寝る。努力は報われず、理想は叶わない。つまり全てが無意味。とりあえず毎月口座に金は入る。思考停止。

そういう思考を辿ってしまうような目に合い続けて、それに折れてしまう日が来れば、たぶん誰もがそうなりうるんだろう。

 

自分が自分に向ける視線を完全に忘れてしまう、それは絶対その方が楽だよ。
でもどんなに合理的でなくても馬鹿にされても捨てた方が楽でも 、それでも私は矜持を持ち理想を掲げることが無駄だとは思わない。