メンズ地下アイドルと繋がった女の話・今日の虚構ブログ

私の彼氏の名前を言ってもたぶん誰も知らないでしょう。

アイドルです。

メジャーデビューなんてほど遠い。

インディーズと言えばまだ聞こえはいい。

無所属のド地下アイドルです。男の。

 

ダメ元でツイッターでDMを送ってみたら、返事が来たのをきっかけに。

 

幸せですか?と言われたら、たぶん幸せなんでしょう。

まあでもそんなのは長続きしません。

わかっています。

永遠にきみの夢だけを追ってていいよと言えるほどの財力は私にはなく、

万が一彼が芸能界で成功したのなら、綺麗な芸能人をパートナーに選ぶのでしょう。

ゲスの極み乙女の、あの元奥さんのことを思うと私は眠れなくなってしまう。ベッキーがテレビに出ていると切り替えてしまう。ほのかりんツイッターは100年前からブロックしている。

 

私のことが本当に一番好きなら、他のファンのことよりも、音楽よりも、拍手や歓声よりも夢よりも。だったらアイドルなんか今すぐやめて就職するよね?

私はいつも心のどこかで彼をそうやって責めている。

でも決して彼は私の為にはそうしてくれないだろうということもなんとなくわかっている。

 

だって、まあ、そもそも、ファンとツイッターで繋がっちゃうような男です。「ミキだけだよ。ファンだからじゃなくて、ミキだからだったからだよ。」と繰り返すけど、どうしてそんな言葉信じられるだろう。

 

でもしあわせ。

だってしあわせって言い続けなきゃ、全部終わってしまうから。

 

幸せを確かめたいから、彼推しのファンの女の子達のツイッターのアカウントを鍵リスに入れてしまう。

周りは、外資系企業勤めのの彼と最近結婚した、広告代理店の…、いいなあ私なんか高校の頃の同級生と6年も…

そんな話の中で、

ツイッターのDMで繋がったド地下アイドルの彼氏がいます」

と言えば、酒の肴にされることはあっても、自慢になんか1mmもならない。

だからそんな話が始まった時、私は曖昧に笑って、

「彼氏なんかもう1年半以上いない。いい人いたら紹介してよ」と繰り返す。

 

そんな私にとって、幸せを感じさせてくれるのは、彼と、彼を好きな女の子達だけ。でも私が不幸なのも彼女達のせい。

彼を好きな女の子達が、ライブ中の彼からのちょっとしたレスに喜ぶたび、特典会で囁かれた甘い言葉が自分だけのものだと興奮している時、

「まあ、その後私は彼と二人きりで会ってるんですけどね」

と心の中で唱えるだけで私達は彼女達に勝利できてしまうのが気持ちいい。

 

彼の腕の中では涙が止まらなくなる。

「どうしたの?」

と優しく聞かれる。いつも心から血が流れている。

 

私は彼と一緒にいることよりも、彼女達を眺めている方がしあわせなのかもしれない。確かな勝利が味わえるから。

世界中の99.9999%の人達が私の恋なんかどうでもいいと思うか、あるいは嘲笑の対象にするだけなのに、

この世でたった数人の彼女達だけが、私の恋を心から憎んでくれるであろうから、彼女達のことを好きだと思う日がある。

でも本当に死んで欲しい日の方がずっと多い。