「君は誰とも違うよ」

芸大に通っていたからというのもあるかもしれないけど、ハイティーン特有の、何者でもないのに自意識だけ育って、私は人と違うぶりたいがために、一人の人間である私をお前の望むモブに仕立て上げようとされることが続くのに心底嫌気がさしてしまって。

 

人間は一人一人違っていて個性があるという状態を普通と設定するならば、お前は特別でもなんでもねえ普通の人間だよ

と言いたいがばかりに、どうやっても他の人と違う私の固有性に対してまで私は「そんなの別に普通だよ」と言わなきゃいけなくなってしまって。

普通になりたい

と、言いたかった。でもそれは逆説的に私は普通じゃないと主張することになってしまう気がして、言えなかった。

普通じゃなくなりたい人達の気持ちなんか全然わからなかった。

私はずっと普通になりたかった。

 

今思えば、君は誰とも違う、と言ってあげることで安く自尊心が満たされる人は別にそれでいいんじゃないって思うし、

何より大切だったことは、そういう風に、君は誰とも違うということを一緒に確かめることで救われる人がいるなら、その人に寄り添うことだった。

普通でも、普通じゃなくても、どっちでもいいよ、君は誰とも違う。

正しくいられる日も、正しくいられない日も、好きなので。