3/21 Cui? vol.3 『きれいごと。なきごと。ねごと。』@新宿眼科画廊

見てきました。なんだか、ボーカルの居るバンドのライブを見ているような気分になりました。大音量の演奏に掻き消されて、でもかき消されないように切実に歌を紡ぐボーカルの言葉を、表情、声、切実さから感じ取ろうとする。
それと同じ行為をこの劇を見ながらしていたから。

もしかしたら、役者に言葉はいらないのかもしれないとさえ思った。彼らが口にするその音が彼らにとって切実に発するに足る音なのであれば、切実に叫んでいるその姿は十分観客に見せるに足る一つの作品になるのではないか。

あと、視覚的にも飽きが来ない演出だったから良いなあと思った。


この画廊は半分が鏡張りだったのですが、そこに直接光が当たらないように照明を使っている代わりに、観客席も鏡もない一面の壁を、照明を当てる場として使っていて、「鏡に光を直接当てられない」って制限を面白く使ってるんだなあと思った。

画廊に設置してある、警報器をそのまま舞台装置として使っているのも面白かった。


男性陣が揃いも揃って救いようもないゲスだったのは見ていて面白かった。
わたしは都合の良い時だけ自分の心の弱みを晒して同情を買ってあたかもゲスじゃない風を装うゲスは本当に嫌で、やっぱ理想としてはゲスはゲスなりの美学を持ってゲスとして押し通して欲しいんだけど、今作の男性陣は割とみんなそれを押し通してるから好きだった。物語も「何故彼はゲスなのか?」みたいなところに一切触れていない所が良いと思った。
とつかはああいう人を貶めること言う姿がとても様になる。
しゅうくんは滑舌がめっちゃ良くなってる!!!!ってことにまず感動した。あと、やっぱり彼のああいう悪い役は好きです。表情だけで色んなことが語れる役者さんだと思います。
ケンタロヲさんは、なんか、ナチュラルなゲスだった。「ゲスでーす!」って感じじゃなくゲスだから余計に救いようなく感じた。
武岡くんは、麻生夢想でよもやヒーローを演じていたとは思えない、あれを見てからだとちょっとショックを覚えるくらいのゲスっぷりだった。

ここまでに何回ゲスっていっただろう…。


女性陣は、みんな違うオーラがあって、ほんと良い女優さんだと思った。みんな声に特色があって、しかも良い声だから、言葉が重要なポジションを務めるこのお芝居にふさわしいなあと思った。
Cui?での鶴田さんが見れてうれしかった。白昼夢で見た時も劇作リーディングで見た時も良いなあ好きだなあオーラあるなあと思いながら見ていてたけど、今回もやっぱり良かった。なんというか、彼女が演じるととても説得力がある。それがどれだけ変なことでも、演技が嘘にならない。嘘のないエキセントリックさが表現できるっていうのはとても強みだと思いました。
佐藤さんはあの冷淡さが出せるのが良いなあと思いました。女性的なのに、どこか中性的な感じもして不思議。
くぼまりさんのあの切実に叫び続ける姿って言うのは、なんだかもうそれだけで琴線に触れました。要の人だった。

あと、前回よりも作家の自意識の匂いがあまりしないところが好きでした。



《キャスト》
コウダケンタロヲ 窪真理 佐藤英美 鶴田理紗 武岡宏樹 戸塚康崇 むらさきしゅう
《スタッフ》
脚本・演出 綾門優季
助演出 手塚菜摘
舞台監督 佐光望
照明 勝政樹
音響 井堰康貴 櫻内憧海(OFFTON/お布団) 宋海印
舞台写真撮影 大橋絵莉花
宣伝美術 比留間晴子
美術 辻本直樹(nichecraft)
制作 上木美果 丸山かな恵
《日時・開演時間》 全8ステージ
2012年3月
17日(土)14:00/19:30
18日(日)14:00/19:30
19日(月)19:30
20日(火)14:00/19:30
21日(水)14:00
※上演時間は約65分を予定しています。
※当日券販売、ご予約受付開始、開場は開演の30分前になります。
※開演の5分前を過ぎるとキャンセル扱いさせていただく場合がございます。お早めにご来場ください。
《会場》
新宿眼科画廊地下スペース
《チケット》
ご予約:1500円/当日券:1800円