「お帰りなさいませ、お嬢様」

人間の理に気付かない人が愚者なのであり、理を知って体得している人が賢者なのである。(中略)知識に乏しく、計算や才覚が下手でも、心が安住している人は賢者なのである。

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誰にも言ったことがないけれど、実は私はお嬢様として生きている。

母子家庭で小さなアパートで生まれ育ち、働かなければ私以外の誰も私を養ってくれないので高校を卒業した後去年から会社員をしているけれど、それでも私はお嬢様として生きている。

勤労は、「社会勉強」。

一人暮らしをしている、オートロックもないこのぼろアパートは「別宅」。

平日は、平凡な会社員を装って生きている。

週末にはお給料を貯めて買ったinnocent worldのワンピースとニーソに身を包み、三つ編みを丁寧に結ってハットをかぶり、YOSUKEのストラップシューズを履いて日傘を指して出かける。

出かけた先にあるこの場所を私はお屋敷と呼ぶ

お屋敷ではたらくメイド達はみんな

「お帰りなさいませ」

と私に声をかける。ここが私の家だから。

 

私がお嬢様でないとする世界はあまりにも美しくないので、だったら私はお嬢様として美しく生きたい。

私が触れるもの、私の眼にうつる世界、全てを美しく変えていきたい。

お嬢様として生きる私を本当にお嬢様として扱ってくれるのはこの空間だけだから、私にとってはこの世界こそが現実だ。

それを糧にして、誰も私をお嬢様として扱わないつまらない平日へ戻った時さえも私は美しく生きてゆく。